『20世紀少年』考察!登場人物、伏線以外
魅力をネタバレ考察:作品に描かれた伏線一覧!
1:カツマタの噂
ケンヂとは別のクラスに所属する同級生。作中での出番はほとんどなく、たまに話題に挙がる人物です。
理科の実験が大好きで、授業でフナの解剖をする前日に死んでしまったことから、夜な夜な理科室に化けて出るという噂がありました。その真相を確かめるために、ケンヂら一行は真夜中の理科室に忍び込みます。
しかし理科室の中に入ったのはドンキーという少年のみ。彼はそこで恐ろしいものを見たといいます。このドンキーの見たものが「ともだち」の正体に繋がる重大な秘密となるのです。
またもうひとつ重要なことは、カツマタにまつわることをほとんどの人物が覚えていないということです。死んだという話も真実かわからず、誰も詳しいことを覚えていません。いったいどんな人物なのでしょうか……。
2:お面の人物の謎
「ともだち」は組織のシンボルマークが描かれたマスクで頭と顔を覆っていますが、本作にはこのほかにもお面をつけた人物が登場します。
ケンヂが小学校時代、「忍者ハットリくん」のお面で顔を隠している少年がいました。その人物こそ「ともだち」であることが判明しています。
また「ナショナルキッド」のお面をつけた少年もおり、こちらも「ともだち」に深く関わる人物。しかもこのお面をつけた人物は2人いて……?
3:のっぺらぼうは何者?
地球の滅亡は、ケンヂたちの幼少期の出来事がきっかけ。作中ではしばしば過去が描かれます。そのなかで、顔が輪郭のみののっぺらぼうが登場するのです。いったい誰なのか、「ともだち」に繋がる鍵となります。
4:1年のズレ
小学校時代、秘密基地で遊ぶケンヂたちを羨望の眼差しでみていたフクベエとサダキヨという少年がいました。2人は秘密基地に忍び込む形で出会い、友達となります。
これはサダキヨの回想では1970年の出来事になっていますが、後に「ともだち」の組織が開発した過去を体験できる装置「VA」では、1969年の出来事となっているのです。この1年のズレはなぜ生じたのでしょうか。
本作の物語は、伏線を徐々に回収しながら、同時に新たな伏線を張っていく仕様になっています。このほかにも数多くの謎が登場し、終始先が気になるようになっているのです。
魅力をネタバレ考察:未回収、矛盾する伏線たち。しかしそもそも浦沢作品の魅力はそれなのか?
1:「超能力」とはなんだったのか
本作には、謎の力である「超能力」が存在します。扱えるのは、ケンヂの姪であるカンナ、同級生のフクベエ、そして「ともだち」組織の幹部である万丈目胤舟(まんじょうめいんしゅう)の3人です。
フクベエと万丈目の超能力はいわゆるイカサマで、本当の能力ではないことがわかっています。ただカンナだけはどうやら本物の超能力を操っているようで、スプーン曲げができたり、2択の的中率がありえないほど高かったり、銃弾が当たらなかったりと不思議な力を秘めています。
ただ、このような現実離れした能力が描かれながらも、これについてとくに言及はされていないのです。さらにいえば、作中で大した活躍をみせるわけでもありません。
では何のために登場させたのか……わからないままです。
2:5人目は誰?
理科室にまつわるカツマタの噂を確かめようと、真夜中に学校に集合したケンヂたち。5人が集まったそうなのですが、実際に描かれているのは4人だけなのです。
もうひとりその場にいたのは一体誰なのか、わからないまま物語が終わりました。
3:なぜのっぺらぼうなのか?
先述したのっぺらぼうは、「ともだち」の正体に繋がる重要な人物です。誰なのかは明かされるのですが、ではなぜのっぺらぼうとして描かれたのかは説明がありませんでした。
4:回想とVAの齟齬
とある出来事について。登場人物は、VA内では相手と対等に話をしていましたが、回想のシーンでは一方的にまくしたてられていました。ここに齟齬が生じている理由はわからないままです。
VAに何かしらの異常が起こったのか、回想自体が間違っていたのか……。
5:なぜ顔が一緒!?
重大なネタバレとなるので明言は避けますが、本作にはまったく同じ顔をした2人の人物が登場します。双子説、整形説などさまざまな憶測がファンの間でなされましたが、答えはありません。
このほかにも未回収の伏線や矛盾が生じているものが少なからず見受けられます。ただ浦沢直樹の威力は、そこにこそあるのではないでしょうか。
彼は綺麗な結末を求めていたわけではなく、そこに至るまでの過程に重きをおいています。読者たちにあれこれ考察する余地を残してくれているのです。
考察
https://honcierge.jp/articles/shelf_story/5689
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