「お面」暁 ナルト考察
「うちは一族全員の抹殺…
………
その時のイタチの心情はどのようなものだったか…
それは想像を絶する
イタチは恐るべき選択を迫られることになった
同胞に手をかけるなど有り得ぬ返答(こたえ)だったはずだ
だがうちはほどの忍が内戦を起こせば
木ノ葉隠れの里も火の国も大きく揺らぐ
それを機に他国は必ず攻め込んでくる
第四次忍界大戦の引き金にもなりかねない事態になる
うちは一族の利己的な思想で
忍の世界とは無関係な者達も含め
また多くの人間が死ぬ」(トビ)
「………」(サスケ)
「お前がイタチならどうした?」(トビ)
「………」(サスケ)
「そしてイタチは決めたのだ
己の手で一族の歴史に幕を下ろすことを
うちはを憎しみで
裏切ったのではない…
仕方無かったのだ
里の興りからの差別…
そして確執のツケ
それをたった一人で背負い込み
己を犠牲にしたイタチの決断を
責めることは誰にもできまい」(トビ)
「………」(サスケ)
「事実あの頃…
このオレも戦争の機を伺っていた
千手の木ノ葉にも
うちはにも恨みがあったからなだがイタチはそれすら気付いていた
オレの存在に唯一気付いていたのだ」(トビ)第400話「地獄の中で」で、トビはうちは虐殺直前のイタチとの接触しています(第43巻/194-196頁)。皆さんも気付いてると思いますが、トビの風体がかなり今と違う…。髪は長いし、装束や武装なんかは全く別物です。特に武装(腰に忍具入れのポーチと長刀を携行している)は、サスケの前に立つ”暁”のトビと余りにも違い過ぎて、とても同一人物だとは思えません。武装はその忍のバトルスタイルが反映されますから、いい歳ブッこいたオッチャン…って言うかお爺ちゃんの筈のトビが10年前と今でここまで大胆に変貌するとは考え難いからです。あと「お面」…穴ぼこは同じだけど、柄や造りは決定的に違います。
時期的にはうちは虐殺の直前…九尾事件を起点に考えれば、その8年後(サスケ8歳)の少しばかり前のお話でしょう。イタチはこの時、13歳程度。初代の弟子だったヒルゼンと同年代のダンゾウの年齢が64歳…それから類推してうちはマダラの御歳は90~100歳程度じゃないかと、僕は考えています。ちなみに砂の相談役のチヨ様が享年73歳ですから、ダンゾウは頑張ってると思います(笑)。うちはマダラは人間の寿命的に「そんなの無理…」なお年になってる筈で、もっと言うと、終末の谷の決闘(柱間VSマダラ)で深手を負い、既に死んだも同じ状態だった筈で、それをしてご本人も「形骸化した存在にすぎない」(ep467 )と宣(のたま)っている。
「イタチはオレに接触を求め
ある条件を出してきた」(トビ)
「うちは一族への復讐の手引きをする代わりに…
里側には手を出すなというのだ
同胞をこの手にかける手伝いをすると…」(トビ)イタチはトビの存在に気付いていた…件の万華鏡の儀式でトビが興味深い話をサスケにしています(第43巻/197頁)。トビはうちは一族を殺しまくったのはイタチだと言うのだけれど、イタチはうちは虐殺の直前にトビと接見し交渉しています。それによるとイタチはマダラのうちは一族への復讐のお膳立てをしただけで、うちは虐殺の共謀者とされるうちはマダラがホントは一族を殺した主犯格だったんじゃないかとも考えられます。そういえば、あの夜、サスケがうちはの集落に戻った時、イタチは電柱の天辺で周囲を警戒していた?とも思えてきます。だとすれば、うちは虐殺に関して責められるべきはトビになる…。
トビがうちは一族を抹殺した…!?
しかし、サスケはこの件に関して全く突っ込みません。トビもトビで、イタチが一族を殺しまくったと言っておきながら、「一族への復讐の手助け」=「この手にかける手助け」(=主犯はトビ)…なんて辻褄の合わない情報をサスケに提供するんだろうかと疑問でしたが、やはり、イタチの死の悲しみがサスケに正常な思考能力を抑え込んでいたと考えるべきでしょう。トビとしてはサスケをこれ以上ないくらい後悔させ、万華鏡写輪眼を開眼させる必要があったのですから。しかも、その後悔が木ノ葉隠れに対する恨みに昇華するのですから、サスケを幾重にも混乱させる行いには幾許かの整合性を感じます。
トビがサスケに情報をあれこれ提供する事で粛々と万華鏡の儀式は進行して行きますが、いろいろと嘘が鏤められていると思いました。イタチが何故かサスケとの闘いで雄弁だったのも僕には気になっていたんですが、イタチとしてはサスケに殺される予定でしたから、その後、トビがサスケに取り憑くのも想定の範囲内だったんだと思います。なので、イタチの証言とトビの証言の差分で、サスケにその真偽を吟味して貰いたい一心で、普段は寡黙でカッコ良いイタチがあんな風に口数が多い…時にちょっと危ない表情でサスケに刷り込んだのかなー…と思います。九尾事件の真相はその最たるものだったんじゃないでしょうか。
「十六年前―――――
九尾が木の葉を襲った事件は
もちろんマダラが起したものだ
それも
四代目によって阻止されてしまった
つまり…」(イタチ)
「今のマダラは負け犬だ…
うちはの本当の高みを手にするのは奴じゃない」(イタチ)九尾事件の張本人はうちはマダラだった(第42巻/127頁)…と、イタチは証言している。僕はイタチは嘘をつかない人だと信用しているので、トビの九尾事件が「自然発生的な…」(第43巻/185頁)がサスケ対策だったと考えております。トビとしてはうちは一族の被害者としての立場を際立たせる必要があったから。九尾事件でうちは一族は完全に没落したんですから、その引き金をうちはマダラ=自分(という事になっている)が引いたのは、この際マズいと考えたのもあると思います。うちはマダラは九尾事件を起こした。そこで四代目と交戦し、九尾を鹵獲されてしまった。イタチはそれをして「負け犬」と言っている。そこが非常に重要なのだと思います。
「お前ほどの男が
なぜこんな回りくどいやり方をする?
お前の力ならどんな計画も
思い通りのはずじゃぜ」(オオノキ)
「初代火影柱間との戦いの傷が深すぎたのだ…
今のオレに力はない
言わば今のオレは形骸化した存在にすぎない」(トビ)ここも重要(テスト出るからな~ッ!!)…イタチとの初接触の行で、トビが漏らしたネタ…「このオレも戦争の機を伺っていた」(第43巻/196頁)と、五影会談のトビの提示はめちゃくちゃ矛盾しています。儀式ではサスケに自分(トビ)で戦争をやろうとしていたと言っているのに、五影会談でうちはマダラに関して一番多くを知っているであろう土影・オオノキに自分は「形骸化した存在」であり、「力がない」…と伝えています。写輪眼てんこ盛りのダンゾウに困ったらサスケを呼ぶトビはどっちかと言うと後者(=形骸化)が似つかわしい。
つまり、トビの言う「形骸化」は嘘じゃない…と思えるのです。しかし、九尾事件やうちは虐殺では恐らくマダラは実行犯だった…。そして、九尾事件は四代目を圧倒しながらも九尾を屍鬼封尽で鹵獲(ろかく)され何故だか事件も治まってしまう(「九尾事件」終末の谷の決闘…第五撃参照)。うちは虐殺は見事完遂するものの、大成功に終わったかと言うと、ダンゾウが大量の写輪眼を収集していた事実は何だか凄く引っ掛かっています。加えて、トビの容貌が大きく変わっている。「お面」が霧隠れ風(第43巻/196頁)から今のうずまき模様に変化してる点を混ぜ合わせて考えるとお話が凄く混沌として来ます。
「…前に九尾を使って
里を襲ったのはペインなのか?」(ナルト)
「イヤ…違う…
そいつじゃない…」(ミナト)
「誰だってばよ!?」(ナルト)
「”暁”の一人
面をしている男だ」(ミナト)
(ナルト)第440話「四代目との会話!!」で、四様が登場して「イーブン祭り」が巻き起こったのは記憶に新しいですが、九尾事件で文字色「”暁”のお面」とミナトが漏らした時にトビを連想してるのはナルトである点に注目して欲しいです。決してミナトが連想した「お面」ではないというところ。今のトビが九尾事件を起こしたのか?うちは虐殺の直前にイタチと接触したトビが主犯だったのかは余談を許さないと、僕は思うんですよ…ってか、今のトビと古いお面(霧隠れ風なので元水影関連のネタかも…と考えたりしています)のトビが同一の個体だったのかも、ぶっちゃけ疑問です。
疑い出したらそれこそ切りがないんですが、ナルトの「お面」の連想は非常に狡猾なミスリードのトラップに思えます。また、うちは虐殺に古いお面のトビが参加し、主犯格の可能性がある…力があった…つまり形骸化していなかった…という事ですから、九尾事件で「負け犬」になったマダラとちょっと違うと思えます。…というのは九尾事件ではミナトを圧倒していた「”暁”のお面」が、何故だか九尾を鹵隠されただけで退いてるでしょ。それオカシイ…。ミナトは鹵獲と同時に戦死してるんですから、そのまま木ノ葉を潰せたんじゃないかと思いませんか。
「あの時…奴は
オレの動きを全て見きった…
ただ者じゃないよ…」(ミナト)
九尾事件で九尾を操った「”暁”のお面」はミナトを凌駕する時空間忍術が使えた可能性が高いです(第48巻/144頁)。ミナトの飛雷神の術を見切ったけれど、ミナトを殺す事はできなかった…。これはうずまき文様の「お面」を着ける今のトビと近いです。しかも、九尾が鹵隠されて一件が終息したって事は、九尾が唯一の攻撃手段だったとも考えられ、今の形骸化発言のトビとも上手く重なります。しかし、うちは虐殺の主犯格とは同一たり得ないとも言える。何故なら、うちは虐殺ではうちは一族の写輪眼持ちの手練を殺しまくったんだから…九尾は勿論、ナルトの中に閉じ込められていますから。
「久しぶりだなダンゾウ…
うちはの事件以来だな」(トビ)
つまり、九尾事件の「”暁”のお面」とうちは虐殺に参加したであろう「お面」は別の個体である可能性が高いのです。それに、物理的にマダラが存命して第一線で活躍するには年齢的に厳しいです。終末の谷の決闘の柱間戦で深手を負い、柱間ですら死んだと思ったマダラが何らかの方法で生き長らえた…それが九尾事件とうちは虐殺で絡んでいる。九尾事件の失敗…それがイタチの言う「負け犬」で、その犯人をイタチが「うちはマダラ」と呼び、うちは虐殺でイタチと連係(共犯)し、ダンゾウと交錯(ep474)したトビもまた「うちはマダラ」なのかも知れません。ただ、その在り方が違う可能性がある…。
それが「形骸化した存在」なのではないかと、僕は思うんです。その仮説がビンゴなら、うちは虐殺でダンゾウは反マダラの動きをしていた可能性が強くなる…と、僕は考えています。その結果が件の右腕の多数の写輪眼です。ダンゾウとトビは明らかにうちは虐殺で交錯しています。そして、二人は仲良しでもなさそうです(笑)。その機微からダンゾウがうちは虐殺で写輪眼をトビに先んじて収集した想定が持ち上がります。そこでダンゾウの右腕のプロテクターが妙に重そうで、別に身体が不自由でもないダンゾウ(意外にスバシコイ)が杖をついていたのが凄く引っ掛かりました(「ダンゾウは何故、杖をついていたのか?」参照)
引用元 筆者:ケルベロス
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